明るくゆとりのある浜田病院の病棟廊下

不妊治療の4つのステップと進め方

最終更新日:2026年7月31日

「赤ちゃんを授かりたい」と願うお二人のお気持ちに、浜田病院は真摯に寄り添います。不妊治療とは、妊娠を望みながらもなかなか授からないご夫婦・カップルに対し、原因を調べ、おひとりおひとりに適した方法で妊娠の可能性を高めていく医療です。 いきなり高度な治療に進むのではなく、まず検査で原因を明らかにしたうえで、おからだへのご負担が少ない方法から段階的に進めていきます。 「まず何から始めればよいのか分からない」という段階でも、どうぞご安心ください。生殖医療専門医が、おひとりおひとりのお気持ちに寄り添いながら、考えられる選択肢とその理由をていねいにご説明いたします。

不妊治療の4つのステップ(全体像)

不妊治療は、①タイミング法 → ②人工授精(AIH)→ ③体外受精・胚移植(IVF)→ ④顕微授精(ICSI)という4つのステップを基本に、おからだへのご負担が少ない方法から段階的に進めてまいります。

ステップ治療法分類主な内容
タイミング法一般不妊治療排卵の時期に合わせて自然妊娠を目指す
人工授精(AIH)調整した精子を子宮内に注入する
体外受精・胚移植高度生殖補助医療
(ART)
体外で受精させ、育った胚を子宮へ戻す
顕微授精(ICSI)1個の精子を卵子に直接注入して受精させる

※ すべての方が①から順に進むわけではありません。原因やご年齢、おふたりのお考えによっては、早い段階で体外受精をお選びいただくこともございます。ご希望に添わない治療を無理におすすめすることはございませんので、どうぞご安心ください。

このほか、原因に応じて卵管・子宮の手術、着床因子の治療、男性因子に対する薬物療法などを行います(→原因別の治療)。

不妊治療の全体像や公的な支援については、こども家庭庁の不妊症・不育症相談支援サイトでも解説されています。

不妊治療(タイミング法・排卵誘発など)のイメージ

はじめての受診と検査 ― 治療開始までの流れ

不妊治療は、まず検査で原因を調べることから始まります。浜田病院では初診の問診とスクリーニング検査でおからだの状態を確認し、その結果をふまえて治療方針をご相談したうえで治療を開始いたします。

初診では、問診・今後の流れのご説明・スクリーニング検査のご予約などを行います(検査の内容は〔不妊検査のページ〕でご説明しております)。結果がそろいましたら内容をご説明したうえで治療方針をご相談し、おひとりおひとりに合ったステップから治療を始めてまいります。

不妊治療のステップ(治療法別)

  1. ステップ1 タイミング法(排卵日予測)

    妊娠しやすい「排卵日」に合わせてご夫婦で妊娠を目指す方法です。基礎体温・超音波検査による卵胞の発育状況・ホルモン検査を組み合わせて排卵日を予測します。不妊期間が比較的短い方や、はっきりとした原因が見つからない場合に最初に行う、おからだへのご負担が少ない方法です。必要に応じて排卵を促すお薬(排卵誘発)を併用いたします。 ▶ タイミング法の詳しいページ

    基礎体温のグラフ
    基礎体温の変化の例(低温期・高温期)
  2. ステップ2 人工授精(AIH)

    洗浄・濃縮で運動性の良い精子だけを選び出し、排卵の時期に合わせて細いカテーテルで子宮内へ直接注入する方法です。「乏精子症」「精子無力症」など軽度から中等度の男性因子がある場合や、原因がはっきりしない場合に選んでいただく方法です。 ▶ 人工授精(AIH)の詳しいページ

  3. ステップ3 体外受精・胚移植(IVF)

    卵巣から卵子を採取(採卵)し、体外で受精させて育った胚を子宮内へ戻す(胚移植)方法です。卵管が両側とも詰まっている方や、タイミング法・人工授精では授かりにくかった方も対象となる、より進んだ治療(高度生殖補助医療・ART)です。 ▶ 体外受精・胚移植の詳しいページ

  4. ステップ4 顕微授精(ICSI)

    顕微鏡下で細いガラス針を用いて1個の精子を卵子へ直接注入し、受精を促す方法です(卵細胞質内精子注入法・ICSI)。体外受精で受精がみられなかった場合や、精子の数がとても少ない・動きがほとんど見られないなど、男性側の要因が大きい場合に選んでいただく方法です。

不妊治療のステップアップの目安 ― いつ次の治療に進むのか

次の段階へ進むかは回数だけで決めるものではありません。以下は一般的な目安で、実際の進め方はおひとりおひとりによって異なります。

タイミング法から人工授精へ進む目安

タイミング法を 2〜3周期(およそ2〜3か月) 続けても授かりにくいときは、次のステップとして人工授精をご提案しております。

一般には半年ほどを目安とされていますが、浜田病院では早い段階から選択肢をご検討いただけるよう2〜3周期を目安にしております。人工授精(AIH)のページ

人工授精から体外受精へ進む目安

人工授精を 3〜4回、多くても6回ほど 続けても授かりにくいときは、次の一歩として体外受精へのステップアップをご提案しております。

人工授精は回数を重ねても妊娠率が大きくは上がりにくいとされているためです。おからだのご負担や大切な時間のことも考え、ご年齢が高めの場合には、より少ない回数で体外受精をご相談させていただくこともございます。体外受精・胚移植のページ

体外受精から顕微授精へ進む目安

体外受精を行っても うまく受精にいたらなかったとき(受精障害) などには、おふたりにご相談の上、顕微授精をご提案しております。

年齢・ご希望とステップアップの考え方

ステップアップの時期は一律には決めず、おふたりのご希望・検査結果・ご年齢などをふまえて、おひとりおひとりに合わせてご相談いたします。

ご年齢が高めの場合は、おふたりにご相談の上、各治療の期間を短めにご提案することもございます。迷っていらっしゃる段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。

ステップアップの時期は担当医がおからだの状況に合わせてご提案いたしますが、実際に進めるかどうかは、おふたりでよくご相談いただき、心から納得されたうえで決めていただけます。おふたりのお気持ちを何よりも大切にし、急かすことはございません。

不妊治療のステップ別の妊娠率(全国統計)

全国の統計では、人工授精の妊娠率は1周期あたり約5〜10%、体外受精・顕微授精は胚移植1周期あたり39.0%と報告されています。いずれも浜田病院の成績ではなく全国の集計値で、結果はおひとりおひとりによって異なります。

人工授精の妊娠率

日本生殖医学会「生殖医療Q&A」では、人工授精の妊娠率は1周期あたり約5〜10%、排卵を促すお薬を併用した場合は10〜15%とされています。また累積妊娠率は6周期で高止まりし、人工授精も4〜6回を目安に効果が頭打ちになると説明されています。浜田病院が人工授精を3〜4回、多くても6回ほどを目安にご相談しているのは、この考え方にもとづくものです。

※ タイミング法については、全国規模の登録統計が存在しないため、妊娠率の公的な実数は公表されておりません。

体外受精・顕微授精(ART)の妊娠率

日本産科婦人科学会が全国の登録施設から集計した2023年の成績は、胚移植1周期あたりの妊娠率39.0%、総治療周期あたりの生産率(出産に至った割合)は14.6%です。

「妊娠」は超音波検査で胎嚢が確認された時点を指し、出産に至った割合とは異なります。数え方によって数値が大きく変わりますので、あわせてご確認いただければと思います。

年齢と妊娠率の関係

治療開始時の年齢妊娠率(胚移植あたり)生産率(総治療あたり)
30歳約51%約23%
35歳約46%約21%
40歳約33%約11%
43歳約20%約4%

また日本生殖医学会は、月経1周期あたりに自然妊娠が成立する割合を21〜24歳=1.00とすると34〜36歳0.82、37〜39歳0.60、40〜45歳0.40と報告しています。

※ 上記はいずれも全国の集計値です(年齢別の妊娠率・生産率はART成績データからの概数)。妊娠の可能性はご年齢・検査結果・原因によって異なり、おひとりおひとりで違いがございます。
出典:日本産科婦人科学会「2023年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績(ARTデータブック2023)」日本生殖医学会「生殖医療Q&A」(Q8・Q10・Q22)

体外受精・顕微授精を受けるうえで知っておいていただきたいこと

体外受精・顕微授精では、まれに次のような合併症・副作用がみられることがございます。あらかじめしっかりとご説明し、体調を確認しながら、おひとりおひとりのペースに合わせて慎重に進めてまいりますので、気になることやご不安な点は、どうぞ遠慮なくお尋ねください。

  • 卵巣を刺激するお薬による卵巣過剰刺激症候群(OHSS)、多胎妊娠
  • 採卵に伴う出血・感染・周辺の臓器の損傷、静脈麻酔のリスク
  • 子宮外妊娠や流産
  • 顕微授精による卵子の損傷

不妊治療の保険適用と費用

2022年4月から、タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などが公的医療保険の適用対象となり、窓口でのご負担は原則3割となりました(ご年齢や所得区分により異なります)。ただし体外受精・顕微授精の胚移植には、年齢と回数の条件がございます。

治療開始時の女性の年齢保険で受けられる胚移植の回数(子ども1人あたり)
40歳未満通算6回まで
40歳以上43歳未満通算3回まで
43歳以上保険適用外(自費)

浜田病院の費用の目安

保険診療の場合、採卵から胚移植までは約7万円〜10万円台、凍結融解胚移植は約4万2,000円(いずれも3割負担)が目安です。自費診療の場合は、採卵から新鮮胚移植までで約38万5,000円が目安となります。

採卵できた卵子の数や胚の個数によって変動し、このほか採卵前に卵子を育てるお薬の費用がかかります。お支払いが高額になった場合は高額療養費制度により、ひと月の自己負担額が所得に応じた上限額までとなります。なお保険の回数は採卵から胚移植までの一連の治療をまとめて「1回」と数えます。

令和8年4月1日以降に開始した治療については、保険診療の体外受精・顕微授精と併用して実施した先進医療の費用について、東京都が1回の治療につき15万円を上限に助成しています(年齢・回数などの要件があります)。詳しくは不妊治療の助成金(東京都)をご覧ください。

項目ごとの料金は次の料金表でご確認いただけます。
▶ ART料金表(保険診療) ▶ ART料金表(自費診療) ▶ 体外受精までの料金表

※ 保険の年齢・回数は国の制度(厚生労働省が定める診療報酬)にもとづき、改定される場合がございます。制度の概要はこども家庭庁「保険適用について」をご覧いただけます。自己負担額や先進医療の取り扱いは、診察の際にご案内いたします。

不妊の原因別の治療

不妊症とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交渉を行っているにもかかわらず、1年以上妊娠しない状態をいいます。原因は女性側だけにあるわけではなく、男性側にある場合、両方にある場合、検査をしても特定できない場合もございます。

原因は一つとは限らず、重なっていることもございます(→不妊症とは・主な原因不妊検査)。

排卵・卵巣が原因の場合の治療

排卵がうまく起こらない「排卵障害」がある場合は、飲み薬や注射(排卵誘発剤)で排卵を促しながら、タイミング法人工授精を進めてまいります。

排卵誘発剤には多胎妊娠やOHSS(卵巣過剰刺激症候群)といった副作用が起こることもあり、超音波検査で卵巣の状態を確認しながら慎重に進めてまいります。

卵管・子宮が原因の場合の治療

卵管の詰まり(閉塞)や癒着、子宮筋腫・子宮内膜ポリープなどが見つかった場合は、腹腔鏡手術・子宮鏡手術で原因を取り除いて自然妊娠を目指すか、体外受精へ進むかをご相談いたします。

着床障害に対する治療

受精卵を移植しても着床しない「着床障害」が疑われる場合は、子宮内膜の状態を整えるホルモン補充療法や、慢性子宮内膜炎などの検査・治療を行ってまいります。

男性が原因の場合の治療

精液検査で精子の数や運動率などで気になる所見がみられた「男性不妊」の場合は、その程度に応じて人工授精体外受精顕微授精の中から適した方法をご提案いたします。

よくあるご質問

Q. 不妊治療はまず何から始めますか?
A. まず検査で原因を調べることから始まります。初診では問診・今後の流れのご説明・検査のご予約を行い、結果がそろってから治療方針をご相談いたします。
Q. 不妊治療は3ステップですか、4ステップですか?
A. どちらも同じ流れを指しています。タイミング法・人工授精を「一般不妊治療」、体外受精・顕微授精を「ART」とまとめて3段階と数える場合と、4つの治療法それぞれを1ステップと数える場合がございます。浜田病院では4つのステップとしてご説明しております。
Q. 不妊治療は全体でどのくらいの期間がかかりますか?
A. 浜田病院の目安では、タイミング法が2〜3周期、人工授精が3〜4回、多くても6回ほどですので、体外受精をご検討いただく時期までおおよそ半年〜1年ほどです。ご年齢や検査結果によって前後いたします。
Q. 不妊治療の専門医はいますか?
A. はい。日本生殖医学会が認定する「生殖医療専門医」が診療を担当します。専門的な知識と経験に基づき、おひとりおひとりに合わせた治療をご提案します。
Q. パートナーも一緒に受診した方が良いですか?
A. 不妊の原因は女性側・男性側どちらにも考えられますので、可能であればぜひお二人でご来院ください。特に初診時や治療方針を決定する際には、お二人で説明をお聞きいただくことをお勧めしています。男性側の検査としては精液検査をお受けいただけます。
Q. 治療には痛みが伴いますか?
A. 治療内容によります。内診や超音波検査、採血などは多少の違和感や痛みを伴うことがあります。採卵や手術などは麻酔を使用しますので、痛みをコントロールしながら行います。不安な点はいつでも医師や看護師にお尋ねください。
Q. 予約はどのようにすれば良いですか?
A. 初めての方も、24時間受付可能なWEB予約、またはお電話 03-5280-1166にてご予約を承っております。まずはお気軽にご相談ください。
Q. 不妊治療のステップは、必ず順番どおりに進みますか?
A. いいえ、すべての方が①から順に進むわけではございません。検査の結果やご年齢、おふたりのお考えによっては、早い段階で体外受精をお選びいただくこともございます。ご希望に添わない治療を無理におすすめすることはございませんので、どうぞご安心ください。
Q. ステップアップしたくない場合はどうすればよいですか?
A. ステップアップの時期は担当医がおからだの状況に合わせてご提案いたしますが、実際に進めるかどうかは、おふたりでよくご相談いただき、納得されたうえで決めていただけます。いまの治療を続けたいというご希望も、どうぞお聞かせください。

不妊治療をご検討の方・迷われている方へ

「まだ受診を決めていない」という段階でのご相談も歓迎しております。JR御茶ノ水駅から徒歩2分です。

▶ 外来WEB予約(24時間受付)

お電話でのご予約・ご相談:03-5280-1166(不妊・生殖医療センター)

▶ 不妊・生殖医療センターのご案内

不妊治療を担当する医師

日本生殖医学会の生殖医療専門医を含む医師が、初診から治療まで担当いたします。原田 美由紀(東京大学医学部附属病院 女性診療科・産科/女性外科 教授)、泉 玄太郎(同 講師)ほかが診療にあたります。 ▶ 医師紹介ページ(経歴・資格)

このページは 医療法人財団 小畑会 浜田病院 不妊・生殖医療センター が監修しています。

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