明るくゆとりのある浜田病院の病棟廊下
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不妊治療

不妊治療

一通りの検査が終わったら、その結果に基づいて治療を行っていきます。スクリーニング検査ではっきりとした原因が発見されず、不妊期間が短い場合には、もう少し自然に様子を見ていく事もあります。

不妊治療にはその原因により様々なものがあり、通院の頻度や入院の有無、保険の適応、そして副作用など大きく異なってきます。患者さん本人が治療に関して正しい理解をし、納得したうえで行われなければなりません。

有効と考えられる治療法でも、ご夫婦がそこまでは希望しないという場合も勿論あります。示された治療に関して抵抗がある場合には、詳しく説明を受け、ご主人ともよく相談をしてから結論を出して下さい。

治療は比較的容易で、負担が少ないものから開始していきますが、原因によっては最初から高度で負担も大きい治療の適応になることもあります。

また、全てのケースで妊娠が可能ではないというのが現実です。特に女性の年齢が高いケースでは卵巣機能が低下しているため、妊娠率は低下してしまいます。

また、精液の所見が極めて不良な場合は、顕微受精などの治療が必要となり、またそれを行ったとしても、妊娠が困難である場合もあります。その場合は正確な治療の見通しや、健康に与える影響を理解したうえで、治療法の選択や治療の継続について話し合っていきましょう。

治療内容

内容詳細
排卵、卵巣因子の治療基礎体温、採血によるホルモン検査、超音波検査などで卵胞発育、排卵に問題が発見された場合に治療を行います。
卵管因子の治療子宮卵管造影検査等の結果、卵管に問題が発見された場合に治療を行います。
着床因子の治療超音波検査等により、妊娠に影響を与えると考えられる筋腫が発見された場合、 また、基礎体温やホルモン検査によって黄体の機能に問題があると診断された場合、治療を行います。
男性因子の治療精液検査の結果、通常の方法では妊娠が困難であると診断された場合、治療を行います。

排卵、卵巣因子の治療

排卵日を予測してタイミングを合わせる

卵子の受精が可能な期間は排卵後約1日、精子は射精後約3日間です。妊娠が成立するためにはこの期間に卵子と精子が出会わなければなりません。 排卵のタイミングを予測してタイミングを合わせることにより、妊娠の確率を上げることができます。

基礎体温表から排卵日を予測する方法、超音波診断により卵胞の発育を観察して排卵日を知る方法、 LH サージ( LH が大量に放出されて排卵の引きがねとなる)を調べる尿検査キットにより排卵を予測する方法などがあります。

特に、不妊原因が発見できなかった場合や、まだ不妊期間が短い場合にも行います。

【基礎体温表】

排卵前の卵胞期に約14日間低温期が続き、排卵後の黄体期に約14日間の高温期が続きます。排卵が起こると体温が上昇して、高温期に移行します。

排卵誘発剤による治療

排卵が見られないとき、通常の排卵が行われない場合は、排卵誘発剤による治療が試みられます。また、排卵数を増やし、妊娠の確率を高める為に排卵誘発剤を使用する場合もあります。

排卵誘発剤にはいくつかの副作用が起こる可能性があるため、 医師の診察・指示の上で慎重に治療を行います。

卵管因子の治療

手術による治療(卵管采形成術、癒着剥離術、卵管開口術など)

主に、腹腔鏡手術下で卵管を正常な状態に近づけ、妊娠を目指します。手術後約1年間は普通に夫婦生活、または超音波による排卵日の予測を行いタイミングを合わせます。

この方法は癒着が重症である場合は、行うことが出来ません。その場合、体外受精により妊娠を目指すことが可能です。

体外受精

両側の卵管が閉鎖、卵管切除をしていて、腹腔鏡下手術などの外科的方法が有効でない場合に行います。 卵巣から直接卵子を採取し、体外で受精を行い、分割した胚を子宮に戻すことにより妊娠を目指します。

体外受精は、体にも、金額的にも負担が大きい為、 この方法でしか妊娠が望めない場合にのみ行います。よく説明を受け、納得した上で行われなければなりません。

体外受精の詳細へ

着床因子の治療

手術による治療(筋腫の摘出など)

子宮体部の内膜直下や、筋層内にできた筋腫は不妊や流産の原因になることがあります。その場合、子宮を温存しつつ腹腔鏡下手術により筋腫の摘出を行います。

男性因子の治療

薬物療法

ホルモン療法、漢方薬による治療を行います。

人工授精

良好な精子を濃縮して、人工授精に用いるため、乏精子症、精子無力症の治療に有効です。5~6周期の治療を行っても妊娠が成立しない場合、その後の妊娠率はかなり低いものであるため、他の治療法を考える必要があります。

人工授精の詳細へ

体外受精

精子の濃縮、swim-up法などにより良好精子を集め、試験管の中で直接受精を行います。

受精に必要な数が少なくて済むため、男性因子の不妊症に有効です。ただし、精子の受精能力に問題がある場合は体外受精では妊娠が望めないため、顕微受精の適応になります。

体外受精の詳細へ

顕微受精

重度の乏精子症や精子無力症など、体外授精でも妊娠が期待できない場合に行います。現在ではピペットで精子を吸引し、直接卵細胞質内に注入する卵細胞質内精子注入法(ICSI)が主に行われています。