第1回 新時代のヘルスケア
『プレコンセプションケア』とは?
プレコンセプションケア連載 第1回
みなさんこんにちは。浜田病院の不妊科で診察を担当しております原田です。
突然ですが、みなさんは「プレコンセプションケア」という言葉を聞いたことがありますか?
最近、ニュースやSNS、行政の広報などでも少しずつ見かけるようになった言葉ですが、「初めて聞いた」「なんとなく知っているけれど、自分には関係なさそう」という方も多いのではないでしょうか。略して「プレコン」とも呼ばれるこのヘルスケア。実は、20代〜30代のみなさん全員に、今すぐ知っていただきたいとても大切な考え方なのです。
今回は「プレコンセプションケア」の基本について、分かりやすくお話ししていきます。
プレコンセプションケアってどういう意味?
性別を問わず、適切な時期に、性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めたライフデザイン(将来設計)や将来の健康を考えて健康管理を行う取り組みです!
自分の未来は、自分で選ぶため
子どもを持つかどうかを今すぐ決める必要はありません。今の身体や生活の状態が「将来の選択肢」に影響する可能性があるため、希望する選択肢を残しておくための準備・アプローチです。
体と心の健康の土台づくり
単なる「妊娠の準備」にとどまらず、今の自分自身の体と心の状態を見直し、健康な人生を送るための土台を整えることそのものを指します。
すべての世代・性別に関係する考え方
女性だけでなく男性も含め、また将来子どもを望むかどうかに関わらず、一人ひとりのより良い人生設計や健康づくりにつながる大切な視点として位置づけられています。
「妊活」とは何が違うの?
「妊娠前」と聞くと、「あぁ、そろそろ子どもが欲しい人がやる『妊活』のことね」と思うかもしれません。しかし、プレコンセプションケアと従来の妊活には、対象となる人とスタンスに大きな違いがあります。
| 妊活 | プレコンセプションケア | |
|---|---|---|
| 対象となる人 | 「今すぐ」赤ちゃんが欲しい夫婦・カップル | 「いつかは欲しいかも」「まだ決めていない」すべての若い男女 |
| 主な目的 | 妊娠を成立させるための具体的なステップ | 将来の選択肢を残し、自分自身の心と体を健康に保つこと |
「将来子どもが欲しいかどうか、まだ全く決めていない」「今は仕事が忙しくて、結婚や妊娠のことは考えられない」——そう思う方にこそ、プレコンセプションケアは必要です。
なぜなら、数年後、あるいは十数年後に「いざ子どもが欲しい」と思った時に、選べる選択肢(可能性)を今からしっかりと守っておくためのものだからです。いわば、未来の自分に対する「カラダの投資」なのです。
気になったら、どこに相談すればいい?
総合的にチェック・相談したい(女性・カップル)
主な受診先:産婦人科 / 婦人科
- 自分の身体の状態(ブライダルチェック、排卵や子宮の状態)を把握したい
- 妊娠に向けた生活習慣や葉酸摂取などの相談をしたい
- 生理痛、生理不順、PMS(月経前症候群)のケアをしたい
持病があって妊娠への影響が心配(女性)
主な受診先:現在通院中の主治医(内科・皮膚科など)+ 産婦人科(プレコン外来)
- 糖尿病、高血圧、甲状腺疾患、メンタルの持病などがある
- 「今飲んでいる薬を妊娠中も続けていいか」を確認したい
男性の健康や妊よう性を確認したい
主な受診先:泌尿器科 / メンズヘルス外来(男性不妊外来)
- 精液検査(精子の数や運動率)をしてみたい
- 性感染症のチェックをしたい
- 男性特有の健康や生活習慣について相談したい
※多くの「プレコンセプションケア外来」では、かかりつけ医と連携しながら薬の調整や妊娠前の病状コントロールの相談に応じています。
まずは、知ることから始めましょう
「プレコンセプションケア」は、義務でもなければ、誰かに強制されるものでもありません。あなた自身の人生を、あなたらしく、もっと自由に、そして後悔なく選択していくための「お守り」のようなものです。
「まずは何から始めたらいいの?」と思った方は、ぜひ次のコラムを楽しみにしていてください。次回は「なぜ、今の若い世代にプレコンセプションケアがこれほど必要なのか?」について、現代のデータや医学的なリスクを交えて、さらに深掘りしてお話ししていきます。
少しでも不安なことや、自分の体について知りたいことがあれば、どうぞお気軽に浜田病院へお越しください。
この連載の監修・執筆

原田 美由紀(はらだ みゆき)
東京大学医学部附属病院 女性診療科・産科/女性外科 教授
日本生殖医学会 生殖医療専門医・指導医
日本産科婦人科内視鏡ロボティクス学会認定・技術認定医(腹腔鏡・ロボット)
日本内視鏡外科学会技術認定(産科婦人科)
日本女性医学学会 女性ヘルスケア専門医/指導医
日本がん・生殖医療学会 認定ナビゲーター
日本抗加齢医学会 専門医
原田先生の外来・ご予約
診察日:火曜午前・火曜午後
不妊科の診療内容・スケジュールは不妊科のページをご覧ください。
次回予告|第2回:なぜ今必要なの?(痩せすぎ問題、年齢とリスクの現実) 近日公開
このページは 医療法人財団 小畑会 浜田病院 不妊・生殖医療センター が監修しています。